生のみ生のままで〈上・下〉
著者:綿矢りさ
おすすめ度:★★★★☆
女性が女性に愛情を持つお話。
「恋をする」というよりかは、「愛を与える」という表現がしっくりくる。
日々変わっていくことがたくさんあるなかで、会えない期間何年間も同じ人を想い続けることは、わたしにはできないことだなあ、と感じた。
でも、会えないからこそ募っていく感情はたしかにあるなあ、とも思う。
私たちは性別を気にしすぎている部分がある。
それを暗に気づかせてくれた。
最後が良い結末か悪い結末かは人によって考え方が違うと思うので、これを機にぜひ読んでみて欲しいと思う。そして読んでみたらぜひ感想を聞かせてほしい。
個人的には、主人公の1人である女性が、愛する女性に会えない間に自分を高めていく姿が素晴らしいと思った。
_____相手に好印象を持ってもらう方法も、常に模索していた。褒めるのは相手に自分の好意を示す一番の方法だけれど、安易すぎて警戒心を持たれることもあるので控え、相手の役に立てる機会を常に窺っている。必ずそういう場面はやってくるので、さりげなく手を貸す、できる範囲で助ける。_____
携帯ショップの店員をしていた頃のクレーマー対応に追われていたのと同じ人とは思えないくらい、対人関係で成長していた。会えないけれど会いたい人がいて、いつかその人に会っても恥ずかしくないような自分でいるための努力ができる人。そんな人にわたしもなりたいと思うし、そんな人から愛されたいと思う。
なかなか難しい話題であるので、感想も難しいが、「とらわれない」生き方をしてみたいと感じさせてくれた作品。