著者:三浦しをん
おすすめ度:★★★★☆
嘘をつけない人の言葉ほど信じられるものはない。
「レンタルなんもしない人」という人がいるが、以前、「自分の匂いが気になり、そのことで悩んでいるので、わたしの匂いをかいでどう思ったか言ってほしい」という依頼があったそうだ。
その依頼主も、知り合いではなく、「レンタルなんもしない人」だからこそ嘘を付かないと踏んで頼んだのだと思う。
実際、正直な感想を言ったところ、依頼主はスッキリした表情で帰ったそうである。
「舟を編む」の馬締光也は、「要領が悪く、嘘もおべっかも言えない」人物である。
そんな「まじめ」の言葉だからこそ、救われる人がいる。
嘘を付けない人は自分のことを不器用で生きるのが下手な人間だと思うかもしれないが、そんな人だからこそ救える人がいると思ってほしい。
辞書の編纂という新境地に踏み込んだ物語だが、難しい本ではなくすらすら読めた。
ぜひ読んでみてほしい。