窓から見える最初のもの
著者:村木美涼
おすすめ度:★★☆☆☆
心療内科に通う女子学生、ある幻の絵を探し求める男性、不動産屋で働く女性、行方不明人として捜索願いが出されてしまった男性。
この4人の話が並行して進んでいき、終盤に差しかかるまでどこがどう繋がるのか全くわからなかったが、最後に一気に伏線が回収された。すっきり。
「絵を描くこと」は「1枚の絵を生み出すことと引き換えに、自分の体から、血を流しながら切り離すということ」という表現があった。
芸術作品といえるもの、
絵も音楽も本でも共通していえることだけれど、無いものをあるものとして生み出すことは難しい。
その難しさは、自分自身を捧げて取り組まないと作品として出来上がらないほどだ、ということだと思う。
私たちは常に他人を意識して生きるけれど、
本当のアーティストと呼ばれる人たちは血肉や魂を捧げて、作品というよりかはもはや自分自身を表現し、他人からの評価を求めなくてもいつのまにか評価される人なんじゃないか、と読み終わった後でぼんやり考えた。