跡を消す〜特殊清掃専門会社デッドモーニング
著者:前川ほまれ
おすすめ度:★★★★☆
「クラゲのような生き方」をしている朝井航は、フリーターである。
偶然にも笹川という人物と知り合い、特殊清掃のアルバイトを頼まれる。
特殊清掃とはなんぞや?という朝井は、その業務に参加するが、それは部屋で亡くなった方の遺品や遺体の痕跡を後片付けする壮絶なものだった…。
「特殊清掃」というあまり身近ではない職のことについての本は初めてで、その実体の生々しさが描かれていた。
しかし、朝井も働くうちにその仕事のやりがいや重みがわかってくるようになっていた。
どんな仕事でも仕事として存在するのだから、必ずやりがいはあり、その仕事のやり方を工夫することや、仕事の意義を考えながら業務に励むことが大切だと気付かされた。
わたしは人の珍しい話を聞くことが大好きである。
それが同年代で有ればなおさら、自分と同じくらいの時間を生きてきた人がこんなにおもしろい経験をしていたんだ、とワクワクする。
この物語は、生々しいけれど、こんなお仕事もあるんだ、というワクワクも得られるお話だと思う。
物語を読むことで、直接お話を聞かなくても、誰かが作ったお話だとしても、そのワクワクが薄まらないのはすごいと思う。
いつかわたしもいろんな経験を通して得たワクワクを、同年代に限らず、誰かに伝えられたらなあ、と思う。