もういちど生まれる
著者:朝井リョウ
おすすめ度:★★★★★
朝井さんの物語は、一文一文を丁寧に、じっくり読みたくなる。
エッセイで、
「おしりの穴が二つある!!」
などと騒いでいた人が書いた文章だとはとても思えない(失礼)が、
本人の繊細さのようなものが物語の文章には表れているなあ、と思った。
エッセイの中で、著者はバレーボールのチームに所属している、
という内容が書いてあった。
同じチームの人たちからは、「根暗でどうしようもない」みたいなことを
言われたことがある、
と記してあったが、その根暗な部分は、
ある意味他人のことを意識する繊細な部分があるからであって、
他人のことを考えられない人に、人を笑わせるようなエッセイなど
書くことができない、
と私は思う。
そして、物語でもエッセイでも、
「人のことを考えている文章」
だからそれに対等の熱量で読みたくなるのではないか、
と考える。
「もういちど生まれる」は、私の好きな人物同士がどこかでつながっている
短編集なのだけれど、これがどれも若者の葛藤をうまく描いている。
短編集に出てくる主人公とほぼ同年代の私にとっては、
わかりすぎるものがあった。
自分はこうやって生きているけど、はたして本当にそれでいいのか、
と悩んでいる人に読んで欲しいなあ、と思う。