著者:森沢明夫
おすすめ度:★★★★★
「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。他に何ができる?」
どちらかと言えば、厳しい言葉だと思う。
「自分」ではなく、「自分の人生」という表現には、変えることのできない運命的要素が含まれている気がする。
でも、変えることのできない部分も、自分の人生なのだから、愛せるようになるにはどう生きるべきか考えなさい、と言われていると感じた。
これは、家族だった猫を失った明海が、古本屋で「死を輝かせる生き方」という本を買うことで、ある女性と出会い、惹かれていく物語である。
いるだけで周りを笑顔にさせるような彼女は、一年くらい前から「自分の視界に入ったものすべてをきらきら輝いたものにしてくれる眼鏡」をかけることにしたそうである。そうすることで、経験したことから得られた感情を丁寧に味わうことができる、という。
でも、そんな彼女には、もうすぐ亡くなってしまう恋人がいて……
うまくいかないと、嘆いてばかりではいけない。自分の人生を愛せるように、きらきら眼鏡をかけることにした彼女を、見習いたい。