まち
著者:小野寺史宜
おすすめ度:★★★★☆
本当は「ひと」から読みたかったけれど、どの図書館に行っても「まち」だけしかなかったので、
しゃーなし、「まち」から借りてきた。
これは、2019年に本屋大賞で2位を獲得した
「ひと」の第二部作なのだけれど、
印象としては「ライフ」と似ていた。
そもそも舞台が同じなのである。
ちなみに「ライフ」の主人公も登場する。笑
小野寺さんの描く主人公は、いつも冷静だなあと思う。かつ、会話のテンポが心地よく、読んでいて落ち着く。あと、主人公が不器用。
わたし自信が、ぼんやりとしていて、感情的な人が苦手だからそう思うのかもしれない。
不器用な人が好きだということは、21年以上生きてきてだんだんと気がついてきた。
器用な人も憧れるけれど、不器用でも真っ直ぐに生きている人はかっこいい。そういうかっこよさが、「まち」の主人公にはある。
主人公である瞬一は、昔火災で両親を亡くしている。ずっと、自分を助けようとしたばかりに両親は亡くなってしまったのではないかと悩んでいたが、
その瞬一をそのあと一人で育ててくれたじいちゃんは「やっぱりお前をたすけに行ったんだと思うよ」「瞬一は責任なんて感じるな。二人のことを、ただ誇れ。知枝子さんも紀一もお前を守れる人間だった。そういうことだからな」という。
じいちゃんの、物事をうやむやにしない真っ直ぐさに感動した。良い部分が、ちゃんと孫にも引き継がれている。
「まち」というタイトルは、村から出てきた瞬一が、街の人々と関わることによってちょっとずつ街に適応していく様子を表しているのではないか、と思う。
瞬一のこれからが、楽しみである。