まだ温かい鍋を抱いておやすみ
著者:彩瀬まる
おすすめ度:★★★☆☆
図書館で彩瀬まるさんの新しい本を見つけると嬉しくなる。
この作品は、料理をテーマにした、少しファンタジックな短編集である。
思い出の味、がテーマだと思う。
思い出にはいろいろあるけれど、五感を使った思い出は記憶に残りやすい。
特に、「味」は、ひとりで経験するものではなく「誰か」との思い出になることが多いと思う。
その点で、この物語の中にも様々な人間関係があった。
著者の作品を初めて読んだのは、高校生の時の、現代文の模試の時間だった。
その時の「神様のケーキを頬ばるまで」という作品が、模試に掲載されている部分しか読めないながらも、繊細な気持ちが描かれていて、「新しいお気に入りの作家さんを見つけた!」と思った。
クラスの他の子達も、「あのお話おもしろかったよね」といっていた気がする。
思えば、わたしは高校国語が大好きだった。
現代文はもちろん、古文や漢文も。
古典は、ルールさえ覚えてしまえば、昔の人になったようにすらすら読めると思う。
一方で、現代文は難しい。
教科書的に答えは存在するけれど、わたしは、人それぞれ捉え方は違うと思うのだ。というか、人それぞれ違う捉え方があってもいいと思う。
それらの異なる意見を、交わし合うのが現代文の授業の醍醐味かなあ、と思う。
記憶的には国語しか勉強していなかった高校時代が懐かしい。教えてくれた先生は元気だろうか。