今日も町の隅で
著者:小野寺史宜
おすすめ度:★★★★☆
いろんな年代の人が主人公となっている短編集。
10編からなるが、私のお気に入りは、
「逆にタワー」である。
「逆にタワー」の中で、男の子と女の子は東京タワーにデートに行くけれど、女の子はやっぱり上れない、という。以前エレベーターで痴漢に遭ってしまったのだという。
______「東京タワーに上れたら楽しかったろうけど。わたし、上から見下ろすより、こうやって下から見上げるほうが好き。そのほうが、何か、やってやろうって気になる」______
そのあと、今度東京タワーに来る時までには上れるようにしておく、とも。
強いなあ、と思った。
人生いろいろあって、うまくいかないことがたくさんある。物語を読んでいると、うまくいっている人なんていない。その中で、みんなどうにか強くあろうとしている。実感が湧かないけれど、実際の人々もそうなんだろう。
小野寺さんの本を読むと、私も強く生きていこう、と思える。