人間
著者:又吉直樹
おすすめ度:★★☆☆☆
物語は前半と後半に大きく分かれていて、
正直どちらも何が描かれているのか、難しくて
よくわからなかった。
前半部分は暗くもやがかったような内容で、後半部分は対照的に
お日様に照らされたぽかぽかの午後のような内容で、
正直前半部分の方が面白かったけれど、
これがずっと続くと暗くどうしようもない読後感だったのだろうなあ、
と思う。
しかし、終わり方が納得いかない、と感じる人が多く居るのではないかという
感想を持ってしまったのも事実である。
創作を通して葛藤する主人公や、その友人(?)の影島
のやりとりにおいて、著者自身の心の中が映し出されているような気がした。
特に影島がナカノタイチに対し、批判する部分は
今のSNSによる批判を表しているようで
とても怖かった。
こうやって言葉の暴力は生まれてくるのか…
著者はとても頭がいいのだろうなあ、
と感じた。
頭がいいというか、深く考えることが得意というか。
著者の作品をしっかりと読んだのは初めてだが、
「火花」や「劇場」もこのようなもやもやとした
お話であるのだろうか。
読んでみて、違いがあるか確かめてみたいと思う。