風と共にゆとりぬ
著者:朝井リョウ
おすすめ度:★★★★★
あなたの笑いのツボはどのくらいの深さでしょうか。
高校生の時、学年末に毎年発行される文集のようなものがあった。
高校3年生の時の私のクラスとしてのお題は、「出席番号がひとつ前の人(もしかしたらひとつ後ろの人だったかもしれない)の印象は?」というものだった。
周りの人に、自分はどう思われているのか。
ドキドキである。
文集が出来上がり、私は真っ先に自分のクラスのページを開いた。
自分の名前を探す。
後ろの人曰く「おしとやかなのに、笑いのツボが浅い」
おしとやか、なのに。
私としては、
おしとやか→マイナスのイメージ
笑いのツボが浅い→プラスのイメージ
だったため、へぇ、と思った。
でも、いざ順番を入れ替えて
「笑いのツボが浅いのに、おしとやか」
にすると、たしかにどうしても変な印象がある。
私の高校は女子校だった。
周りの子はみんな頭が良く、余裕があり、思いやりのある子ばかりだったが、なんとなく自分自身を思い切ってさらけ出すことができなかった。
男の子がいる世界の方が、生きやすいのかなあ、と思っていたが、今も謎である。
自分をうまく出せなかったその結果、「おしとやか」なイメージがついてしまったのだろうなあと思う。
本当はぜんぜんおしとやかではなく、家では変なダンスをしたりするし、日常で発生した面白いことが大好きであり、友達が「一緒に食べよう」と鞄から取り出した練り梅が、全部くっついてひとかたまりになっていた時は2人で1分間笑った。
「ツボが浅い」とおもわれたのは、周りの子の面白い行動を見て思わず笑ってしまうことがあったからだと思う。
ツボが浅いのはいいことだと思いたい。
風と共にゆとりぬ。
私のツボをくすぐる(?)非常におもしろいエッセイだった。
第三部の肛門記は、終始笑いが止まらなかった。
朝井さんは、「お尻の穴が2つ(誇張)あるにもかかわらず、お尻の穴が1つしかない人間のような顔」
をしてインタビューに答えていたことにとてつもない罪悪感を持っていたそうである。
爆笑である。笑いが止まらない。
ツボの浅い私は普通にこういうお話も大好きである。
このブログを知り合いに見られていたらとても恥ずかしいけれど…